どうしようもないこと

きょうは朝から、50年近く使った餡炊きの釜を取り壊しました。
今まで何万回の餡をこの釜は炊いてきたのでしょうか?
何人の職人さんが、この釜で餡を炊いてきたのでしょうか?
私も何度か炊いたなあ。
 
ワイヤと、むき出しの鉄の歯車の組み合わさった姿。
鈍く光るプロペラはとても今風ではなく、レンガの土台に今は貴重なほう金製の八升鍋。
 
もっと大切にしたい気持ちもあったのですが、
土台が大きくひび割れてしまい、今回の始末になりました。
 
私は朝から何回も写真を撮り、お袋は塩と日本酒で清めてきれいにして…。
自分で決めておきながら、一度壊したら、もう手に入らないもの。
お金で買えないものに思いを馳せ…。
とても名残惜しそうにしている私たちでした。

ふと振り返ると、72歳の親父がじっと見ています。
さぞ感慨深いだろうと思い話しかけると、
 
これから導入する釜はどんなふうか?
どれぐらい性能かと、悲しむよりわくわくしているようです。
 
なるほど、与えられただけの思い出にすがりつくより、
自分で作り、使い切ってさらに新しい機械に期待する力強さ。

なるほど、歴史とはこういうものかと。
思い直して、パチリ。

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